設備情報 収集・分析システムの開発
まさに「 IoT 」の活用実例
ここ数年、バズワードである“IoT”という言葉ですが、その言葉の意味する内容は広範囲に至ります。
当社のお客様である光電子株式会社様での取り組みと当社で開発したシステムがその一例となりますので、ぜひご紹介させていただきたいと思います。
原価管理という生命線
光電子様はコイルを主体とした電子部品の設計・製造などを手がけられている宮城県大崎市岩出山の企業様です。
戦後、モノづくり大国であった日本ですが、現在は海外の安い人件費に押され製造業業界は大変苦しい戦いをされているとお聞きしています。
そんな、「高い品質」だけでは市場に対する優位性を保つことはできなくなっている現状で、価格においても競争力をつけるためには、どうしても製造コストを下げる必要があります。
そこで重要になるのが「原価管理」です。
「稼働設備」の最適化
その原価管理の中でも、現在多くの製造業様で課題となっているのが「稼働設備」の最適化です。
「稼働設備」の最適化をすることができれば、エネルギーコストの削減や歩留まり(原料から製品ができる割合)の向上などを目指すことができ、結果として製造コストの削減につながります。
その最適化をするための第一歩となるのが、現在の設備稼働状況などの情報収集と分析なのですが、その一歩が大変難しいのです。
設備の情報を収取するのは簡単ではない
例えば、今から新しく製品を製造する設備を導入するとします。
ITの発達した現在であるなら、設備側のあらゆる情報を計測して出力し、ネットワーク通してをデータベースに収集管理して、パソコンやクラウド上で把握・コントロールできる設備を作ることができるでしょう。
まさに、「IoT」の活用です。
ですがそれは「現在ならば」なのです。
10年前、20年前、それ以前となると、その当時に製造された設備には設備情報を出力する機能がほとんどありません。
あったとしても規格や仕様が統一されておらず、ひとつの製品の製造工程の設備情報を一限集約して分析するというようなことは大変困難です。
つまり、現在使っている設備の情報を収集・分析ができない、というのが多くの製造業様での大きな課題となっているのです。
そこで当社では、様々な設備から情報を取得することができる「CO-NNECT」というシステムフレームワーク(カスタマイズを前提としたハードウェアとソフトウェアの抽象的な基礎システムセット)を開発しています。
今回、光電子様ではこの「CO-NNECT」をベースに光電子様専用の「設備情報 収集・分析システム」の開発を行わせていただきました。
大切なのは、運用をできるだけ変えないで始めるということ
当然のことですが、製造業の皆様はすでに製造業務の最適化をされていらっしゃいます。
その製造業務を崩して情報収集を行うということは、製造コストの削減を目的とした取り組みにおいて、本末転倒です。
「CO-NNECT」はコンセプトとして、可能な限り現在の製造業務の運用を変更することなく、様々な情報取得・分析を実現させる、ということを掲げています。
そのために重要となるのが、業務分析です。
製造業におけるIoTの実現方法
前置きが長くなりました。
当社が今回行った製造業におけるIoT実現方法をご説明します。
- ITコーディネーターによる、経営者視点からの要求定義(目的を明確化し課題を摘出する)、要件定義(課題を解決する手法を明確化する)を専門的な知見をもとに行い、ご提案します。今回の場合は、当社「CO-NNECT」をベースとした光電子様専用システムの開発・提供が有用であると判断したため、ご提案し合意いただきました。
- 実際の製造機械の調査を行い、機構や機能の分析を行い要件を満たせる具体的なハードウェアシステムの設計を行います。
- 要求定義と要件定義から、必要なネットワークやソフトウェアシステムの設計を行います。
- 1〜3の内容をもとに光電子様専用の「設備情報 収集・分析システム」を設計します。
- 「CO-NNECT」のフレームをベースに、必要な部分のみを開発します。
- 導入テスト、運用テストなどを経て、システムを導入します。
これにより、設備の稼働状況を自動取得し、ネットワーク(イントラネット)を通じて自社サーバのデータベースに蓄積し、それらの情報をPCのブラウザ上で、準リアルタイムに把握・分析・予防保守のスケジューリングなどが可能となりました。
今回、すべての設備に設置したわけではないのですが、一部の製造ラインで、「稼働設備」の最適化の第一歩、現在の設備稼働状況などの情報収集と分析が可能となったのです。
当社保有の専門技術を最適な組み合わせでご提供します
上記1は、当社の「ITコーディネート事業部」と、中小製造業のIoTスペシャリストでありITコーディネーターでもあるアイ・コネクトの大久保様と協業させていただき業務分析を行いました。
2は、当社「エンベデッド&メカトロニクス事業部」が、3は当社「システム開発事業部」がそれぞれ行っています。
当社が保有する専門技術を組み合わせ、また、足りない部分は協力企業様のお力もお借りし、最高のチーム構成でシステム開発をご提供することができました。
今後も、ITナレッジを活用し光電子株式会社様のお力になれればと思っています。
お気軽にご相談ください
当社では、自治体・学校・中小企業・各種団体など様々な分野のお客様に対しITコーディネートサービスをお提供しております。
ITの利活用にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
クライアント | 光電子株式会社 |
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サービス提供時期 | 2016年 |
業種 | 製造業 |